2002.4.26起票
2002.5.5 数値や文面を再度見直しました


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この記事は、HDDの製品やメーカーの規格では表示されないような耐久性に関する事を私が過去の経験に基づいてまとめたものです。
そして、HDDという消耗品を長持ちさせる提案をメインに書いています。

HDD(ハードディスクドライブ)に関する掲示板の番外編です。
BBS(ゲストブック、雑記帳)でのHDD議論が長くなってBBSでは間に合わないみたいなのでこちらに続きをかきます。

HDD (Hard Disk Drive)を長持ちするように使っていただきたいという事で、それが消耗品だという理由を書いています。
取扱い方によって寿命が変りますのでぜひここでHDDの機械的な仕組みをイメージしてみてください。
悪意はありませんので、詳細部分についてへんだったらご容赦下さい。

まず、HDDは高速回転している精密機械であり、データを探すのに、ヘッドの誤差が1ミクロンとは言わないまでも4ミクロンとか5ミクロンのズレはゆるされない機械です。
そんな機械の消耗の要因は3つあると考えています。
1、軸受の問題
2、腐食します
3、消耗します

4、おまけ:実際に使っていて壊れたドライブを調べ写真で説明しています
2002.10.30〜現在に至る

1、軸受

ディスクは高速回転しているので軸受が物理的に消耗するかもしれませんし、高熱に弱いといっている人もいます。私はこの軸受というメカに関して詳しくないので、断言できませんが一般論でもちょっと大変そうだなぁと思っています。冷却しないとベアリングが死ぬかもしれません。
7200rpmって2サイクルのバイク並みですよ。
でも、さすがに今まで数十台のHDDを数年間に渡って使っていますが、軸受が壊れた経験は数少なく、たった一回しかありません。2.5"のノート内臓が軸受で死にました。多分3600rpmくらいのやつです。
最近は高速回転に耐えられるよう、流体軸受なんですね。
軸受の耐久性などについてはその道のプロにお任せしるとして私の意見は次の項目に移らせて頂きます。

2、腐食します

磁気を記録する面は腐食します。決して目に見える様なサビではなく局所的に腐食して磁性層が抜け落ちます。
すこし真面目にシュミレートしてみましょうか。
仮に、回転数を5400rpmとして、記録位置では内周と外周では差があるのでまん中へんの、直径2.5"のところを例にしてみましょう。通常のディスクは直径3.5"(約9cm、半径4.5cm)です。2.5"相当は半径3cmくらいになります。やや中央より外側ですね。
1分間に5400回転では、一秒に90回転します。
ヘッド位置での一周は2.5"×25.4/2×3.14=100mm。回転数から計算する線速度は、100mm×90回=9000mm/秒。
すごいですね一秒に約9mも進むんですよ。時速で 32km/h。
記録周波数が現在どのくらいまで上がっているのか情報がありません(というか調べてません)が、あまり高いと誘導リアクタンスにより記録コイルで減衰してしまい、磁力が弱まってしまいますから、まあそこそこで4MHzくらいだと仮定してみます。
記録するデータのディスク上の長さを算出します。1秒間に進む9mは9×10^6ミクロンです。その長さに4*10^6 個×2倍のデータを記録するので、前者を後者で割って、1.1ミクロン。
次にデータの幅はどのくらいか? これはヘッドの記録ギャップの幅に依存します。自分では10ミクロンくらいまでしか使ったことがなくあまり狭いとうまく記録できないので極端に狭くなっているとも思えないのですが5ミクロンくらいとしておきましょう。
ということは1ビットの長さは 長さ1×幅5 ミクロン のサイズくらいと推定されます。
よく考えてくださいね。長さより幅が広いんです。よくある説明とは違うでしょう。ほんとは横長のデータが並んでいます。
(4*2MHz=8MHz,よく言われる転送レートより低い数値だと思いましたか?あくまでこれはディスク上のRAWデータの記録速度であって、データのやりとりには符号変換によりもっと多くのデータ突っ込んでいます) 。
記録理論について語り始めると切りがないのでこの変でやめておきます。
さて腐食ですが、データ羅列の集団の中に、ポコっと腐食によって穴が空きます。
なぜか?というと分子レベルの反応なのでなかなか要因を特定できないと思いますが、金属の腐食ですので塩素など塩基性の元素が原因となって変質することが多くあります。製造上から来るのか外部から来るのか、いろいろと要因はあると思います。この塩基が水分(すいぶん)と一緒になって金属面を酸化させる様です。
穴のサイズは、例えば50ミクロンくらいのものだったら簡単に発生します。そうするとデータはどのくらい欠落するか想像してください。
ほんとに、ほんとに、嘘っぽいイメージで恐縮ですが下の線を仮にデータだとすると、このイメージの部分がそっくり消えてしまいます。データが消えていく感じがわかりますか?
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そう、約1とか5とかのデータサイズの羅列の中に50というサイズの障害をボンと置くんですよ。
こういう腐食は温度が高めで湿度が高いとどんどん増えます。水があると反応が進み、反応速度は温度に対して対数的に上昇します。
ディスクの本体は、ガラスタイプとアルミタイプの2種類があり、塩素などの腐食性不純物の混入を考えるとガラス主材のもののほうが腐食しにくいかな。と感じます。

以上腐食のイメージですが、もう一つ、大きな要因として結露があります。
目に見える結露でなく微小な結露です。
冷えた空気の中に暖かいものを持ち込んだときは結露しません。
逆に、暖かいところに冷たいものを持ち込むと、モノの表面で空気が冷やされて局部的に水蒸気が液化するという、冬の窓ガラスに起こるような現象がモノに起こります。ほんとに最表面の微細レベルでは簡単におこります。ただ水滴が形になる前に温度が均一になって気づかないことが多いですが、一瞬の微小結露はHDDにとっては結構ダメージとなりえます。
そして雨の日など相対湿度が高い状態ではわずかな温度差でも結露はおこります。
だから冷えたPCを暖かい部屋に持ち込むと結露しやすいので要注意ですし、冷えた部屋にPCがあって強力な暖房で一気に部屋を暖めると結露する可能性が出てきます。
ひどい結露の時はディスク面全体に水滴が発生しますが、こういうことはあまりないと思います。で、微小な場合は、目に見えない小さなレベルに中で腐食が進みます。その中でディスク面に四角くヘッドの形が残る結露跡もありこれをみると結露のし始めはヘッドの周囲からだったことがわかります。核になるんですねヘッドが。こんな跡がのこったらもう×です。使い物にはなりません。
前の項で、記録データのサイズを計算しましたが、縦方向の距離すなわち磁性材料の厚さは1ミクロンもありません。それどころか、1ミクロンの20分の1くらいの厚さです。もう物質の分子レベルのサイズです。外的な要因はとても危険なんですよ。

対処方法をお教えしましょう。
 結露させない為には、PC、特にHDDを部屋の温度より少しでも高くする様心がけます。
 結露してしまうような温度差(PCが冷たい)があるときは電源を入れてHDDをあっためます。
 また電源を入れると、ヘッドが浮上するので、ディスク表面には何もいない状態になりヘッドという核もなくなり、結露しにくくなります。
 HDD を長く使うための秘訣です。
 あとディスクはパッケージになっているので湿度は心配ないのでは?と思われがちですが、実は空気穴があけてあったりして、湿度は数分で内気・外気とも同じになります。また穴が無くても水の気体という分子はたいしたやつで完全密閉型パッキンでもない限り、30分くらいで内部にもやってきますし、低気圧や高気圧の差によって内部の気体は出入りすると考えるのが妥当です。密閉だとは思わないでください。

3、本当に消耗します。

第2項の秒速9mは頭に入りましたか?すごいですよね。
こんなに高速だとヘッドはディスク面に接触できません。こんな速度で接触したら一発で傷が入ります。
だから普段は浮いているんです。本当に浮いています。少しくらい手で押しつけてもディスクには絶対にくっつきません。これほんと。自分で確かめました。でも浮いているのは0.何ミクロンとかごくごくわずかの高さですので浮いているのを調べる方法はかなり難しいです。光の波長を利用するくらいしか調べようが無いです。(ディスクパッケージを開けてはいけないという理由はわかりますか?ヘッドは指紋の高さより低いところを飛んでいます。ホコリなんてとんでもない巨大な障害物なんです)
さて、、、止まっているときは? ---- 当然ディスクにくっついています。ここが重要。
では回転し始めや止まる直前って? 当然こすられています。浮き上がる瞬間は高速で接触しています。
イメージ出来ましたか?こすっていること、で、その先の結末は2つ。
 (1)磨かれる。
 (2)または 削られる。

磨かれると・・・・あたりがつくといえばわかりますか、ヘッドとディスクの面が非常にきれいになっていきます。ただでさえ鏡面仕上げのディスクとヘッドの面が削られるとくっついて離れなくなります。
手で引き剥がそうとしても離れなくなります。これを防ぐためにディスク面にはレコードに溝のような線をななめだったりまっすぐだったりいろいろな方法でいれて空気を入れられるように作っているのですが徐々にこれが削られてくるとくっつきます。
モーターのトルクは最低のぎりぎり設計されているので、ちょっとあたりが出るともう回れなくなります。
こうなったら対策は一つ。ちょっと叩きます。そうすると初期症状の時は回ります。その場合は、もう止めてはいけません。そのままバックアップを開始します。動かなくなるのは時間の問題です。
もう一方の(2)削られる・・・・・削られるとしゃりしゃりと鳴きだします。いかにも故障しましたって感じになります。
これがダメなのは一目瞭然(みられませんが)ですね。

そして、2.5"のドライブは、何かの要因でこの消耗に関する寿命は3.5”より短いです。だからノートをサーバーにされている方お気をつけ下さいませ。
それはなぜか? 相対線速度が出にくいせいでディスクとヘッドの接触時間が長いのか、 モータのトルクが足りないからとまってしまうのか、 あるレベルまで浮上するのに時間がかかって引きずっているのか、 供給電力がきびしいのか、面ぶれがあるのか、それらの複合からかもしれません。
確かにヘッド自身が小さくなり、空気を受けにくく浮上しにくくなる上、ヘッドってスイングアームといって。一点固定で円盤の上を動いているので、内周と外周では、円周方向に対して斜めになってしまう欠点が避けられません。空気をちゃんと受けられなくなるため姿勢が不安定になります。そんな原因も含まれています。よく解明されていないと思いますが明らかに2.5"の方が壊れるのは早いです。日々改善・進歩はしているとは思いますけど。(ヘッドがディスク面に斜めにならない平行移動するタイプの機構をばらしたりして見たことがある人がいるかもしれません。昔はそういうものも製品化されていましたが、USA保有の特許に抵触して全世界で玉砕したと記憶しています)。
 中には停止時にはヘッドをディスク上から逃がしてしまうタイプのものもあるのですがメーカーや型番などで今どんな状況なんだか把握できていませんのでそれに関してはコメントを控えます。
 逆にディスクを浮上させたままにして数年も回しっぱなしにしておくと、ヘッドをディスクに押しつけているアーム(荷重を造り出しているばねの部分)が弱ってきて浮きっぱなしになるのではないか?というコラムを見たことがありますが、その心配は無いのではないかと私個人としては思っています。

あと、ノート型を使っている人はできるだけドライブを停止させないように気をつけたいものです。電池を持たせる為に止めるというのも納得できなくは無いですがその都度寿命を縮めているのを認識してほしいと思っています。サーバーの利用をしている場合には自動停止は絶対いけません。
自動停止する設定にしてあると1日30回くらいとまるとすると・・・早ければ半年で起動しにくい症状がで始めるものも・・・・ありそうな。

消耗品だってこと、理解いただけますか?

--おまけ--私感ですが
HDDは製品である以上、個体差は出てしまいます。特に高密度になると製品としてスペックぎりぎりのものが出てきます。ぎりぎりな特性とは、記録したものが読み出せるかどうかという特性と 耐久性があるかどうか という両方について、良悪が混在するということです。
記録特性ではそれがロットで左右される場合が多いですが、耐久性に関しては同じロットで隣同士で作られていても極端に差がある場合もあります。これは分子レベルのコントロールを大量生産で管理するのが限界でもあるところなんですね。だからメーカーや型番だけでいいのかどうかうんぬんと言えないことが多く、だからどれが良いとかお奨めする気持ちになれません。もしかしたらメーカーがしっかりした方針として耐久性の甘いものは製品化しないということがあればそのメーカーのモノはOKと言えますが、そんなものはメーカーの経営責任者が頻繁に変わるドライブメーカーの事、統一されているとは思えません。

だから

安定したHDDを決めるには購入後、半年間くらい自分の環境で使ってみて、物理的なエラーが勝手に増えていかないもの、こういうのを安定した個体として大事に使うようにしています。そういうのであればかなり長い間、数年間は安定して使えます。そういう意味では使用後1年程度は故障を念頭に置いておくという事です。
あとHDDが消耗品である以上、部品としては他の何よりも壊れる頻度が高いと思っています。だからRAIDは必須と思っていて今までRAID1 or 5 でサーバーの停止を数回、回避できました。
確かにオペレーションミスで消去したとかであれば意味は無いですが、勝手に壊れたりしますし、モーター商品ですのでもし余裕があればRAIDは是非つかった方がいいですよ。

蛇足 で申し訳ありませんが、記録した磁化信号は自然に消えていかないのか?そんな疑問もご無用強い保持力をもった素材を磁性素材として使っています。ただ、ある製品は熱で磁力が消えてしまうものがあり、かいはつ を断念したのですがそれはそのうち別のところから製品化されました。熱といっても自分が発生する程度の比較的手のとどきやすい程度の熱です。それが同じ素材なのかどうかしりませんが、とっても 心配だなぁ。超小型の接触型HDD。だれか違う素材だと言ってくれ〜。マイクロドライブのデジカメがかえないぞ〜。

以上が私の書いた記事のまとめです。
冒頭に書いたとおり、私の記事は、一般的に公表されているカタログ的な情報ではなく、まず出てこない開発担当者が直面する内部情報のつもりです。
ただ情報が古いこと、ドライブという最終製品の市場情報はあまり持ってないこと、を注釈としてここに残しておきます。ただ情報は古くても原子や分子の枠組みが変ったわけではないのでどうやらそれほど革新的な改革はないと感じています。
さて、この記事について2002年7月23日、光さんから掲示板に意見を頂きました。
光さんはハードディスクのドライブという製品に関しての情報に詳しいらしく、いろいろな事例を知っていらっしゃると思われる方です。(あったことは有りませんので推測)。その意見をここにまとめるのは致しません。それは実際に自分で調査したことではないからです。元記事はAM雑記帳のNo310からのスレッドですのでご参考まで。概要をまとめると次のとおりです。

指摘頂いた事:
指摘を頂いた点は、私の記事のうち、3番の消耗に関するところです。
私の記事 : ディスクドライブにおいて、回転直後と停止直前はヘッドがディスクに接触して引きずる為に摩耗が発生してしまいます。摩耗は耐久性の重要ポイントでコンディションや商品のロットが悪いと急速に寿命に近づきます。その摩耗を防ぐために、ディスクが止まらない様に連続運転をして、この障害を極力防ぐのが良い、とまとめています。

光さんによる運用方法 : (日本国内のHDDメーカー3社の担当者の見解として聞いたとの事)
摩耗は問題になるレベルには無く充分余裕を持って作られているので気にしなくてよい。故障となるうる要因は軸受にある。
軸受の寿命を伸ばす為にも、軸受の動作時間をできるだけ少なくする事がベスト。
この様な見解が、開発している国産ドライブメーカーの品質管理や技術部門の見解としてまとまった。寿命を伸ばす為の運用方法は、全くの逆の、こまめに止めるのが良い

という事だそうです。

繰返しになりますが、以上の事はご指摘として頂いた事象で私が手にとってみたデータではなく、また光さんもドライブメーカーからきいたとの表現で統一されている様ですので、私としては指摘を頂いた事実だけを提示しておきます。ぜひ参考にして下さい。

で、上記の指摘を頂いた以降、記事を変更するべきかどか、見解を提示するべきか考えていました・・・・が・・・・せっかく頂いたご意見ではありますが、やはり最後は私の見解をしっかり書き記しておくことにしました。

私自身では運用方法を変更していません。あいかわらず回転は止めないべき。だから記事はそのままにしておくことにしました。

では私の考えを書き添えて終了させて頂きたいと思います。ここからは参考程度にどうぞ

理由はいくつかあります。
軸受が壊れやすいというのは話には出てくるが、手元に軸受起因の故障事例がほとんどない。自分の身の回りでは、もう10年来、新旧とりまぜ、また、SCSIではなく粗悪な安物IDEを中心に数十台を常時稼動していますが、しかも環境も、エアコンもきかせてない様な悪いところで使っていてどんどん加熱されているにもかかわらず(一部CPUが熱暴走するものまで出てますが)、それらのなかから軸受によりHDDが「故障」したことはたったの1回もなくまたその気配もない事。
光さんから頂いた母数の大きい実例からも軸受が故障した事実は出てこないこと。
以上のことから軸受の故障はほんとに多いのか?と思っています。この感想は10年来の実感なのでデータを見ないと簡単には変りません。
特に最近の多くのユーザーの動向は、HDD交換の手順がかなり容易になってきているので、故障してもメーカーには出さず、サイズアップを兼ねて交換してしまうことが増えていると思います。メーカーが故障要因の統計を把握できる状態にあるとは考えられません。
(※高速回転型の流体軸受を使っているものは流体の耐久性がどうなのか、サンプルがありませんので不明です。ここでの話の対象から外して読んでください。高速回転するのは耐久性を考えるとどうしても使えません。避けて来てます)。
そして、自分の周りで起こるHDD故障は、軸受とは関係ないところばかり。腐食(ヘッドのホームポジションとでも言いましょうか)か、あるエリアのクラッシュなどにほぼ集約されていること。
例えば、ある具体例ではありますが、ちょうどいい事例で最近私の影武者のHDDが壊れました。原因を調べてみました。HDDは記事で指摘のある通りの粗悪品が出まわっていたIDEです。だからといって特殊なものではなく、普通に現役で使われているものの一つです。
それは、雨のじとじと降り続く日でした。湿度は・・・そんな日は相対湿度、100%近くあったと思います。気温20度くらいで。これで気温が変動すると、危ないなーと思っていたのですが、やはり、翌日、影武者の電源を入れたところ、心配していた通り、I/Oエラーが出てきます。フォーマットしてもしても増え続けてもうだめです。あきらめてドライブは一旦取り外して、後日あけてみることにしました。開封ののち、ヘッドの着地点にヘッドの形で薄く白く曇りがあります。すなわち、磁性皮膜が酸化したことがわかります。いやというほど不良解析をしてきたので一目瞭然です。結露したんですね。結露を防ぐにはドライブの温度を雰囲気温度より少しでも高くするしかありません。そしてヘッドが核にならない様に常に回転させておくこと。これだけを考えても、回転を止めないほうが良いという、私の判断を支えてしまいます。
私の結論が変わらないのはこういう事例がゼロにはならないからなんです。どんなに改良型が出ても新旧混在だといろいろありますし、製品の特性の分布や歩留まりを考慮したり・・・・説明したいことは山ほどありますが、あまり意味がないのでやめておきます。ちなみにI/Oエラーが増えていく時にしゃりしゃり音が伴う場合は、腐食でなくて消耗や傷による物理的なクラッシュなどの場合が多いです。寒いところだと逆に空気の特性が急変してヘッドの浮上が不安定になったりするので簡単に傷が入ったりしますから皆さん高温だけではなく極低温での利用には注意してくださいね。
さて、もうひとつ注意なんですが、上記で頂いた意見は国内3社というただし書きがありますね。
まずHDDシェアを確認しておきますが、米国8割、あとは日韓合わせて2割(ヘッドの供給会社の2000年度資料より)。
そういう中でおそらく世界で1割前後のシェアしかない日本国内メーカーの見解です。
おそらく見解のもととして含まれているであろう某F社、大きなリコールを出しています。2000年の中盤より発生が始まり、ドライブを加熱するとコントローラーの「とある材料」が変質して制御が異常になり、スピンドルの故障と同じ症状を発して壊れる、というもので、総額100億円くらいの対策費を見込んでいるというのが2002年の秋にようやく認められてニュースでも報じられました。
熱に弱くスピンドルが故障するという見解はもしかしたら、この一部のメーカーならではの見解なのでは?と感じてしまうところもあります。
まぁ、あまりにも高い温度になると、CPUを含めたコンピューター全体とHDDの制御用の板も熱暴走しますから、故障ではないまでもデータが正常に管理できなくなるという意味ではあまりにも高温になる環境は避けなければいけませんね。
以上を自分なりにまとめると
 じめじめした日は微小な結露が発生しやすいので、電源を切らない方が良い。
 人が堪えられない様な高温の中では、コンピューターももっと熱くなって正常に動作できない。
 長い間使った経緯のあるドライブは、決して長期間停止させない。物理的な原因で再度、利用することができない確立が高い。
という事を注意しています。
以上、私の意見ですが、参考程度にどうぞ。

2002.12

2003.10加筆
このサイト、別のページに実際に故障したHDDを開けて考察した事例をいくつか紹介してあります。
その状態や結果をみると、最近の故障動向が少々感じとれます。
私自身、ドライブ自体には衝撃を与えない様に気をつけて取り扱っているので、流石に衝撃傷による故障はありません。
どんな故障が多かったか、というと
 腐食する? これはありましたね。やはり避けて通れないでしょう。
 摩耗するかな? これもありました。しかし、最近の数十GBクラスのドライブでは、ヘッドかなり小型化され荷重も小さい、シークエリアは対摩耗加工がしてあるなど、確実に対摩耗性が構造的に向上していると思われる動向です。(あくまで最近のモノです。古くから稼動しているのはそうではありません)
 軸受の故障は・・・これはなさそうです。
あとは・・・
 ドライブの異常な長期加熱によりディスクが歪んで湾曲ポイントが摩耗したとしか思えない(想像ですが)事例がありました。(その歪みって数ミクロンを想像しています)。
いちばん顕著だったのは
 長期的に使用していたものは、ディスクとヘッドの吸着が強烈になっていて、とめてしまうと再度回る時にかなりのモーター負荷がかかるというのを幾つか経験しました。表面の潤滑状態が変っているのかなぁ
そんな状況です。


2005.8加筆
 前の記事から既に2年、最初の記事から既に3年半が経つんですね。
 世の中事情もだいぶ変わってきています。
 ディスクの大容量化はどんどん進んでいます。マルチメディア時代全盛ですからね。
 HDDにとって高温ってどうなんだ? っていう事もある程度結論が出てきたんじゃないかな。
 高温に関しては今の技術でほぼ問題ない様ですね。HDDナビも出てきたので自分でも試してみています。HDDだと快適快適、音楽もばんばん入るし、検索は早いしデータは豊富だし、ってとこで、自動車内の超高温での使用も全く問題なく過ごしています。自動車内の高温って日常のPCが熱いってのとはレベルの違う高温になります。触れなくなりますよ。更にとても多湿でもあります。それでも大丈夫だから結論として高温多湿には強いってことでしょう。2.5"ですけどね。別のノートタイプも何年も車に入れっぱなしにしてて触れなくらいやけてる事もあるけど全然平気だしね。
 高温に関して但し書きを入れるとするとHDDそのものの故障というよりコントローラーの熱暴走はあきらかにあります。家のサーバーのHDD部分の放熱通路が詰まって加熱されて触れないくらい焼けてたときがあったけどさすがにデータが読み書きできなかった。あれこれ様子をみたところ結果として熱暴走と判断していますし、HDD2台をほぼ抱き合わせに近い設置をした場合やはりディスクエラーが出がちです。でもドライブが故障しているわけではないので一時的におかしくなる状況がありますのでそういう意味で放熱には注意したいとは思います。熱暴走するときは触れないくらい熱くなってますが・・・・
話を戻しますが
 軸受(スピンドル)も問題ありませんね。
 新旧とりまぜても、最初に提示した「軸受の故障」はどんなひどい使い方をしても故障したものは1台もありませんでした。よって、軸受は故障対象に想定しなくても良いと思います。
 あくまで最近のドライブに関して、です。3年前以上の規格のものはまだ古い理論があうと思います。

 熱に関して 耐久性としては問題なし、と判断して、それ以外の部分についてどうなんでしょう?

 私は今の時点でPCは50台以上を24時間365日連続運転させて管理しています。連続運転ではないものもいれるとHDDの管理台数は100台をこえています

 さすがに初期に不良が出やすいものとかもありましたが、徐々に納得のいく形に持ってきたのでほとんど故障に遭遇しなくなりました。
 今の数十GBサイズのドライブに関してですが、ヘッドがとても小さくなりあれなら摩擦による消耗は起きにくいと言って良いでしょう。ディスク面もヘッドの小型化で平滑化にしても問題ない状態ですから精度が上がっていると思われます。振動に関してもヘッドの自重が小さいのでダメージも少なくなってることでしょう。
 初期不良を除き、普通に使っていて消耗するという事は考えにくくなりましたね。
 残すところは結露ですね。結露だけは温度差と湿度の関係ですから、避ける事はできませんね。ヘッドの周辺に水がつくってのはありうる事です。水は空気中にある化学成分などを引き寄せて汚れますからやっぱりディスク表面へのダメージにつながります。という事で結露するような環境におく場合は回しつづけて回避するというのは正しい事でしょう。ただ、今結露で故障ってのもあまりきかなくなってきました。前はちょいちょいあったんですけどね。
 特に2.5"なんかですとノートで持ち運ぶのでLoad/Unloadタイプでヘッドを待避させる事もやってると思います。2.5"は解析してないので私の経験ではコメント不能です。

 故障要因として今よくわからない事が一つあります。ずっと使ってきている10,000回転のSCSIドライブ、回転数の関係か、メーカーの性能かわかりませんが、最高のコンディションで使ってやってるのに寿命が短い事、これが理解できません。いずれメーカーを変えたり、高回転型が普及していくのでだんだん私の統計も増えていくでしょう。ちなみに今の主流は7200rpmです。
 以上、総合的に判断して結露するという事以外に故障する要因は考えにくいという事です。最近のデータとはあくまでSeagateのドライブをたくさん使ってみての実感を判断基準にしています。そんな中でも気まぐれに使ったMaxtorやIBMはときどき故障してますが・・・

 そんな訳でSeagateはお奨めしますよ。特に大容量の必要がないなら40Gとか80Gとか小さめのところで使ってるのが故障しない実績が自分の中ではあるのでいいと思いますよ。100G越えの大容量タイプはこれから徐々に実績がたまっていく事でしょう。今はまだコメントできるほど使ってませんからね。

 ほか、バックアップ指針の参考記事はこちら

   
  HDDはあいかわらず2桁の在庫を持ちつづけています。
  購入はもっぱらこちらドスパラ でまとめ買いをしています。安くて買いやすいのでご紹介まで。

 


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